public contribution & art

容積率緩和・公共貢献とアート

総合設計制度や都市再生特別地区における容積率の緩和は、その建物が周辺の市街地環境にどれだけ貢献するかによって決まります。公開空地に置かれた彫刻、1階に設けられたギャラリー、エントランスホールの作品。これらは「賑わいの場」「文化への貢献」として評価されうるものです。
当社は作品の選定・導入だけでなく、設置後の運営・展示替え・保全・著作権管理までを引き受けます。

市街地の公開空地に設けられた造形物

※写真は、市街地の公開空地に設けられた造形。歩行者が自由に立ち入れる場所であることが、公共貢献としての評価の前提になります。

なぜアートが容積率につながるのか

建築基準法第59条の2にもとづく総合設計制度では、敷地内に一定規模以上の空地を設け、それが「市街地の環境の整備改善に資する」と特定行政庁に認められた建築物について、容積率・絶対高さ・斜線制限が緩和されます。この空地が公開空地(塀で囲わず、誰もが自由に出入りできる場所)です。

ここで重要なのは、公開空地は「広ければよい」わけではないという点です。多くの自治体の許可要綱では、その空地がどれだけ実際に使われるか、どれだけ市民に開かれているかを評価して割増を決めます。ベンチと植栽だけの通り抜け空間と、人が足を止め、集まり、文化に触れる場所とでは、評価が変わります。

さらに、建築物のなかにホール、ギャラリー、美術館といった公益的な文化施設を設ける場合に、追加の割増を認める制度も古くから存在します。横浜市の市街地環境設計制度では、1978年に「公共貢献が認められる場合」の割増が、1985年には「文化施設を含む建築物」への割増が明文化されました。アートによる公共貢献という考え方は、決して新しいものではありません。

近年は、都市再生特別地区における公共貢献の評価項目としても、文化・交流機能が位置づけられるようになっています。

制度の詳細は自治体ごとに異なります

総合設計制度の許可要綱、割増率の算定方法、公開空地の評価基準は、特定行政庁(都道府県・政令市等)ごとに定められています。適用の可否は個別の計画によって変わりますので、企画段階でのご相談をおすすめします。

Our Role

企画から、その後の運営まで

01 企画段階

どのような文化的機能なら、この場所と計画に成立するか。ギャラリーか、常設のパブリックアートか、可変の展示空間か。規模、費用、運営体制の見通しをあわせてご提案します。行政協議に使える資料の作成も承ります。

02 導入

作家の選定と交渉、作品の調達またはコミッションワークによる新規制作。搬入、基礎、据付。屋外設置の場合は耐候性・安全性・維持管理までを設計に織り込みます。

03 運営・保全

展示の企画と入れ替え、作家との調整、著作権の処理、報道・撮影対応。そして作品の定期点検と修復。ここを継続できる事業者は多くありません。

見落とされがちな論点——「つくったあと、止められない」

文化施設として容積の割増を受けた場合、その用途をやめて別の用途に転用することは原則としてできません。つまり容積率の緩和は、その施設を運営し続ける義務とセットになっています。企画段階で「誰が、どうやって、いくらで続けるのか」を決めておかないと、竣工後に行き詰まります。
当社は展覧会の企画を全国の美術館で実現し、屋外彫刻の保全を自治体から受託してきました。導入することと、続けることの両方を引き受けられることが、当社にご相談いただく理由です。

想定される形

低層部に設けられたギャラリーの展示風景

低層部のギャラリー

住宅・オフィスの1階に、無料または低廉で公開されるギャラリーを設ける。当社がコーディネートした作家の作品を、1〜2年に一度入れ替えて展示し、その運営を担います。

公開空地に恒常設置された環境彫刻

公開空地のパブリックアート

広場や歩道状空地に恒常設置する彫刻。その場所のために制作するコミッションワークとすることで、まちの記憶と結びついた作品になります。

エントランスホールの壁面展示

エントランスホールの作品

吹き抜けの吊り下げ作品、壁面のレリーフ。屋内であっても一般に開放された動線上にあれば、賑わいと文化的機能の一部として位置づけられます。

ダニ・カラヴァンによる光の回廊(霧島アートの森)

アート文化貢献施設

展示だけでなく、ワークショップや講座を伴う施設。当社は美術館向けの教育普及プログラムの実績があり、運営内容の設計から承ります。

よくあるご質問

どの段階で相談すればよいですか。

早いほど選択肢が広がります。行政協議の前、基本設計の段階でご相談いただければ、公開空地の使い方や文化施設の規模を、容積の割増と運営の現実性の両方から検討できます。竣工間際のご相談でも、既製作品の導入という形でお応えできる場合があります。

アートを入れれば必ず容積率が緩和されますか。

いいえ。緩和の可否と割増率は、特定行政庁の許可要綱にもとづいて個別に判断されます。アートの設置そのものが自動的に評価されるわけではなく、公開空地の広さ・形状・利用のされ方、施設の公益性、周辺環境への貢献などが総合的に見られます。当社は制度の適用可否そのものを保証する立場にはありません。設計者・行政との協議に必要な、文化的機能の中身をつくる役割を担います。

作品はどのくらいの費用がかかりますか。

既製作品の購入なら数十万円から、その場所のための新規制作なら数百万円から数億円まで、規模と素材によって大きく変わります。運営費は展示替えの頻度と作品の借用条件によります。現地と計画を拝見せずに概算をお出しすることはいたしません。

運営はどこまで任せられますか。

作家の選定、作品の借用・購入交渉、展示の設営と撤去、キャプションと解説の作成、広報素材の提供、著作権の処理、来場者向けのイベント運営、作品の定期点検と修復まで承ります。年間契約の形が一般的です。

すでに設置されている作品の管理だけを頼めますか。

承ります。当社で導入した作品かどうかは問いません。現況調査から劣化診断、修復の監修、著作権者への報告までを担います。詳しくは彫刻作品のメンテナンスをご覧ください。

資料請求・ご相談

デベロッパー、設計事務所、ビル運営会社の皆さまへ。企画段階からのご相談を承ります。
導入事例と運営体制をまとめた資料(PDF)をご用意しています。