SDアートの堀越です。
さて、今回は、私が思いっきり影響を受けた本のご紹介です。
この本のおかげで、私は、立体的美術鑑賞法で美術を鑑賞するセミナーをつくろうと決心しました。
さて、今日はその「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」について、
若干ネタバレしてしまうかと思いますが、私見たっぷりにご紹介します。
(本の内容を引用しながら、私見たっぷりのことを綴っていますので、参考程度にお読み下さればと思います)
Contents
世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?
結論から言えば、以下の3点の外部環境の変化がみられるためです。
1、論理的情報処理スキルの限界
2、自己実現欲求市場の登場
3、システムの変化にルールが追いつかない世界
2010年頃より、VUCAワールド(※)という言葉が使われるようになったように、世界はものすごいスピードで変化し始めています。
IoTによるビックデータの活用や、AI技術革新やそれに伴う既存の産業や業界構造が、一瞬にして無力化していく世界。
人類がこの変化に追いつけなくなってしまう事態すら出てきています(シンギュラリティ)。
このような変化を見据えた上で、上記の3つの課題が出てきます。
一つずつ。私なりの解釈を多分に加えながら、以下の通り見て行きたいと思います。
※Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧さ、のそれぞれの頭文字をとり、今後ますます”変動が高い不確実で複雑・曖昧模糊とした世界”となっていくことを意味した言葉
1、論理的情報処理スキルの限界
これはすなわち、「論理思考だけでは今後の変化に太刀打ちできません」ということです。
論理思考の結果出てくる結論というのは、極端に言えば、
「当たり前でしょ?」「で?」「わかるけど、つまらない」
というものが多いということです。
そこには今は亡きスティーブ・ジョブズによるアップルの革命的プロダクト(!)や、
戦略家の濱口秀司さんのような”クリエイティブな論理的戦略”は生まれてきません。
人間が本来持っている「発明家的素質」や「面白いね!それ」というワクワク感に従ったような”美しい産物”は、いつだって夢やストーリーを持ち、そして、人々が熱狂・感動するものです。
つまり、当たり前のことですが、そういったものやサービスをつくっていくには、
人間の「ひらめき」「アイディア」「インスピレーション」といった「第六感」(私なりの言葉で言えば「アート力」)を高めていく必要がありますよね、ということです。
これ、至極当たり前のことのように思いますよね。
でも実は、現在の社会を見渡すと、当たり前のことを忘れてしまうような企業が、日本の社会を覆っています。
すなわち、現在の日本企業の多くは、論理思考=サイエンス偏重であり
「右脳的な感覚=アート」
を重要視することを忘れてしまっている、という証左でもあります。
2、自己実現欲求市場の登場
最近みなさんの周りでもよく見かけると思いますが、個人でセミナーや教室を開いたりされている方が本当に多くなってきていますよね。
さらに、「一生、会社員として生きていく生き方は古い!」と喧伝され、
「フリーランスの時代だ!」という風潮がつくられてきています。
そう、これこそが「自己実現欲求市場」です。
脱サラしてきた私からしてみると、「いいことばかりではないよ・・・。やめときな」と思います(笑)が、
経済的にも精神的にも成熟し、豊かになってきた日本をはじめとする国々では、自己実現欲求が高まることによる「これまでとは異なる市場」が形成されてきています。
「自分が本当に心からやりたいと思う方に進んでいくんだ!」
という欲求が生まれてくるのは当然と思います。
詳しい話は省きますが、この現象は、有名な「マズローの欲求5段階説」に従うと明らかです。
つまり、今後の変化をとらえていく上で重要なのは、この「自己実現欲求を充足するサービス」を見据えていく必要があるとい
うことです。
「独立して、社長として誰からも束縛されず働きたい」
「自分の趣味を仕事にしてお金を稼ぎたい」
「好きなことだけやって生活したい」
このような欲求がますます今後当たり前になっていくということです。そして、このような欲求を満たすようなサービスが今後ますます必要になってくるということです。
そのためには、これまでの「売れた製品を真似して安くつくろう」というフォロワー企業や、「これまでも数十年続いてきたから今後も◯◯だけを作っていけば安泰」という変化が苦手な企業は、淘汰されていきます。
なぜなら、その企業基準は、「正・誤」「損・得」だからです。
「これまでのやり方が正しくて、その正しい解のみを選択し続ければ大丈夫」
このような「正・誤」の世界がこれまでのパラダイムです。
自己実現欲求市場は、「正・誤」ではなく、
「快・不快」「好・嫌」「感動・無関心」のパラダイムだからです。
このパラダイムで成果を挙げて行くには、
「論理的で集団意思決定による多数決システム」という「コモディティー」は不要とされ、
むしろ、「美しいと感じる独特のセンス」といった「目に見えないものを直感的に判断するチカラ」が大いに役立つようになります。
従って、この「センス」「美意識」を高めていくのが重要なのです。そのような人間がつくったサービスでなければ、自己実現欲求市場の「ワクワクした欲求」には応えられないでしょう。
3、システムの変化にルールが追いつかない世界
このシステムとルールについての関係を考えるときに、真っ先に頭に浮かぶのが、
Air B&B(民泊)やUber(配車サービス)といった事例です。
UberのCEOはずいぶん叩かれましたが、これも各国での
「法規制とサービスが衝突する部分」
があったからです。
つまり、新たな革新的なサービスを投入し、そのサービスが人々の潜在的なニーズを顕在化させていく過程では、「便利だけれど、法規制にのっとるとグレー」なサービスや、「多くの人の役にたつけれど、法的には×」といった事例が出てきます。
「違法だけど儲かる」というのは基本的にはやってはいけないことですが、
「法規制的にはグレーだけど、その商品が急速に世界に広まっていき、市民権を得ていっている。
これって、法を変更した方がいいのでは?」
という方向に向いていく場合があります。
これが「システムの変化にルールが追いつかない世界」です。
既成事実化しても、その是非を議論する場も必要ですし、是となった場合でも、法律が改正されるには時間がかかる場合がほとんどです。
このように、「世界の変化速度にルール変更が追いつかない」場合、
経営者をはじめとする意思決定者は、
「今のルールではグレーだけど、私の感覚的にはこれはOKだろう」
という「判断」が必要となってくる。この場合に頼りになるのが「美意識」。だからそれを鍛えよう、ということを述べています。
他の言葉で言えば、「センス」「ビジョン」「基準」ということでしょうか。
VUCAワールドを生き抜くために必要な「美意識は◯◯◯」
さて、山口周さんの「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」
を私見たっぷりにご紹介しました。
この本を皮切りに、今「エリートのためのリベラルアーツ」がブームになる兆しを見せています。
ようやく時代が「美の時代」へと変貌し始めていることに、非常に嬉しく思うと共に、今後このような考え方ができない経営者やエリート層は、急速にチカラを失っていくだろうな、とひしひしと感じ始めています。
今までは、
「良い大学、良い企業、良い人生」
という社会的なベクトルが働いていて、この「方程式」に則って生きていけば、
「幸せな人生」が約束されていました。
これは我々の先人である日本人が、戦後に必死になって日本を復興して「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を築きあげ、高度経済成長という日本における輝かしい時代をつくってきてくれたおかげです。
その後、何が正しいか、長い間、方程式を持てずにいた日本でしたが、
この「変化速度がはやい世の中」に身を置くことにより、新たな方程式が見え始めました。
それが、「美意識」であり、「センス」「インサイト」といった日本人が持つ「意識」であり、
私の言葉で言い換えれば「アート力」なのだと思います。
全ての人にとって、この「美意識」は、今後の不確実な世界を生き抜いていくための”羅針盤”であり、長い長い人生を航海するために不可欠な要素なのだと確信しています。
以上、世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?を読んでみての私見でした。
私もこれまでアートプロジェクトにたずさわってきた人間として、このような時代に役立てる方向性があると考え始めました。
そして、冒頭に述べたように「アート力」を高め、「人生の羅針盤」となるようなチカラを高めていくプログラムを始めていこうと思っています。
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