本日は、 =====================================
3. 今月のパブリックアート
4. 余談
編集後記
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についてご紹介します。
最後までご覧いただけますと幸いです。
1.12月の近況
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2024年最後のメルマガになります。
今年も、多くの出会いがありました。
今月は、特に、その傾向が顕著な月でした。
・鬼頭健吾さん
今年の一番の思い出は、台湾でのアートプロジェクト。
鬼頭健吾さんと初めて仕事をさせていただいたことでした。
今回、鬼頭さんからご招待いただいて、明治神宮前で行われている展覧会のオープニングに足を運びました。
原宿の交差点のすぐ横スペースなので、イルミネーション目当ての人が非常に多く、写真がなかなか撮れませんでした。
以下より写真をお借りしています。
ご覧いただくとわかるかもしれませんが、
この展示スペースの背景の写真が、台湾でのプロジェクトのものです。
鬼頭さんにとっても大きなターニングポイントになったようで、今年の集大成として、台湾でのプロジェクトを取り上げてくれていました。
また、新作は、屋外を意識したステンレスやアルミを使用した作品となっており、台湾での屋外作品を通して、鬼頭さんの意識をパブリックアートで見せる形に変容してきていると感じました。
これからますますパブリックなプロジェクトをご一緒できると感じた展示でした。
・水戸部七絵さん
今回のオープニングレセプション、有名なコレクターやアーティストや学芸員の方々が出席されていました。
そんな中で、ひょんなことからお話しさせていただいたのが、水戸部七絵さん。
世界的に活躍されているアーティストです。
私が彼女の作品に出会ったのが、2021年。
VOCA展でした。
この絵の具。
初めて見た際には驚愕しましたが、この展示を見て、今後活躍されることを予感していました。
(すでにこの時かなり活躍されていましたが)
惹かれたのは、「彫刻的である」こと。
絵画と彫刻というジャンルの壁を超えて、昇華しているところ。
VOCAは、「平面の画家」がテーマ。
この年は、こういった彫刻と絵画の境界線を意識させる良い作品が多かったので、記憶に残っていました。
彼女の作品は、前澤友作さんやOktetaコレクションなどの著名なコレクターに蒐集され、知名度もウナギのぼり、
現在、韓国でも個展を開催されています。
そして、画業だけでなく、現在は、彫刻作品も制作されています。
実際にお話ししてみた感覚ですが、非常に軽やかな感じ。
作品とは真逆の感じを受け取りました。
これからどこかで協働できる予感がしています。
そして、このご縁で、来年、アトリエに訪問することになりました。
サロンの方々はお楽しみに。
鬼頭さんのパトロンが運営するスペースで行われたレセプション。
非常にアートな空間で、素敵な場所。
青山の裏路地にある、会員制スペース。
これからここをお借りしてイベントなどをやっていこうと思っています。
まずは3月のサロン新年会をこちらで開催しようと思っています。
新しいことが始まる予感がしています。
・高城剛さん
長年、彼の著書などを読んできて参考にさせていただいている
高城剛さん。
私にとってのバーチャル・メンターの一人。
彼に初めてお会いし、お話をさせていただきました。
エネルギー高く、非常に通る高い声。
一緒にいるだけで、「自分が上がる」方でした。
「目指すべき姿」の一つがここにある。
そう感じるオーラをまとっていました。
*
あまり最近は新しい出会いがなく、求めてもいなかったのですが、
今月は「自然と」そのような方にお会いするタイミング。
もう一人、来年を象徴する出会いがありました。
「雑談」に続く。
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2. アート・ニュース
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気になったアートに関わるニュースについて私見をご紹介します。
今月はこの2本です。
【1】日本のアート市場の現状は? 2023年の売上高は946億円
昨年の世界美術品市場の規模は前年比4%減の650億ドル(約9兆6100億円)と推定されている。このうち77%が米国(42%)、中国(19%)、英国(17%)によって占められており、日本の市場規模は全体の1%、6億8100万ドル(946億5900万円)に過ぎない。
日本のアート市場の規模について、今年も統計が出ています。
日本のアートシーンでは、Tokyo Gendaiアートフェアや、さまざまな芸術祭が乱立するなど、近年盛り上がっているように見えますが、実態は、そうでもありません。
それが数字を見ると明らかです。
市場規模については、ほぼ横ばい(コロナ前と比較して10%増程度)。
アートはまだまだ欧米のもの。主に欧米が日本市場を盛り上げようと躍起になっていましたが、日本人はさほどそれらを受容していません。
私なりにこの状況を長年眺めてきて思うことは、
「日本は文化的に豊かだから、アートを買わなくて良い」
ということでしょう。
日本には豊かな自然や伝統的な独自の芸術が数多く存在しています。
特に、漫画やアニメといった世界に誇るべき文化。
また、神社仏閣といった芸術がそこかしこにあります。
これらの存在が、日本人にとって深い部分で拠り所になっているため、アートはさほど必要ないのでしょう。
精神的にも、経済的にも余裕のある、グローバルに活躍する方々にとって現代アートを保有することは、ステータスかつ、社交になる。
これらの人々にとって、アートを購入することはマストなものです。
また、現代に生きるアーティストたちの活動を支援する意味での購入は、もっと多くの人にとって当たり前になると良いと思っています。
一方で、この記事(統計)が示しているのは、「構造」が長年変化せず、一部の人間の需要を満たしているものであるということ。
日本の文化は、欧米の現代アートを受け入れつつも、やんわり拒絶している。この統計を見て、そんな感覚を抱きました。
【2】「目玉」をパブリックアートにつけるいたずらがオレゴンで頻発。市民は歓迎、自治体は困惑
アメリカ ・オレゴン州ベンド市で、パブリックアートの彫刻に「目玉」をつけるいたずらが頻発。「元気が出る」と歓迎する市民もいるが、当局は犯人にやめるよう求めている。 アメリカ・オレゴン州ベンド市では、25年前に同市が急成長を遂げる中、交通渋滞を解消するために市内各所にロータリーを設置し、その中央の空きスペースなどにパブリックアートを置く「ラウンドアバウト・アート・ルート」プロジェクトを実施してきた。現在、同市には50のロータリーがあり、そのうち27カ所にはアート作品が設置されている。
クスッと笑ってしまいました(笑)
一方で、接着剤等を使用するなどは絶対ダメですが(作品を修復するものとして)。
こういった形で、「過去の作品」がフィーチャーされ、また違う形で見直されていくのが、アートの面白いところでもあります。
以前、彫刻家ダニ・カラヴァンが日本で展覧会を行った際の話です。
彼が、展覧会の際に屋外に作品を設置したところ、地震が発生してしまい、作品の一部が、落下して損壊したことがありました。
幸いなことに人的な被害は出なかったのですが、作品を修復し元の状態に戻そうとダニに相談したところ、「そのままでいい」とその対応を受け入れませんでした。
「日本で展示するということは、そういうこと。そして、私の作品は、それを受け入れた形として、展示を継続すべき」といったニュアンスで話をしていました。
イスラエル出身のダニ・カラヴァンは、札幌芸術の森野外美術館の作品に代表されるように、自然と共生する形、その場所のエネルギーや地形、意味などを丹念に見ながら、環境等と作品をフィットさせていく作家です。
この作品の落下について、ダニ・カラヴァンは、自然現象による「神の手」を、作品の一部とすることによって、自らの作品を完成させたわけです。
このエピソードは私にとって非常に深く印象に残っています。
話は戻り、今回のパブリックアートの「目」の件。
こちらは、人為的ではありますが、
手を加えられることによって、「funny」と感じる。
この「変化」は、歓迎すべきと思います。
そして、それは長年、姿を変えなかったアートが、再び注目されるという意味において、非常に面白い出来事だと感じたわけです。
作品を損壊させることは許されざることです。
一方で、法律やルールでがんじがらめになるのではなく、少しの「余白」や「遊び」を受け入れられる社会であってほしいなと思います。
それこそが、アートのチカラ「心豊かな社会を実現する手段」ではないかと感じる記事です。
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3. 今月のパブリックアート
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月に一度、気になった、もしくは出会ってしまったパブリックアートを紹介していきます。
今月は、曽根裕の「Yellow House」です。
黄色い家。ISABEL MARANTというブランドの旗艦店について、アーティストの曽根裕がディレクションをしたそうです。
曽根裕といえば、麻布台ヒルズのパブリックスペースに、大理石で作ったような木の作品《石器時代最後の夜》を設置していることで有名です。
曽根裕(そね・ゆたか)は、日本を代表する現代アーティストの一人で、独創的なインスタレーションやパフォーマンスで知られています。彼の作品は、空間、時間、音、光といった要素を巧みに組み合わせ、鑑賞者の感覚を揺さぶる体験を生み出します。
特に「劇場型インスタレーション」と呼ばれる、物語性や身体性を重視した形式が特徴です。京都市立芸術大学出身で、国内外の展覧会や芸術祭で活躍しており、自然や社会の本質に迫る哲学的なテーマを探求しています。
ふとしたことから、このYellow Houseを知りましたが、
アーティストの作品は、「家」にも及ぶ、好例だと感じる「作品」です。
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4. 余談
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冒頭からの続きです。
以前メルマガで紹介した、
マカオ(Not香港でした。失礼しました)の方。
『論理的美術鑑賞』の中国語版を読んでくださり、
ご連絡を下さいました。
12月上旬に、来日された際にお会いしました。
一瞬で意気投合。
3ヶ国語を操る、会社経営者。
彼女の人生ストーリーがまた非常に面白い。
偶然とは思えないシンクロニシティが頻発。
「大好きなおばあちゃんが作っていたお菓子を再現する」
亡くなられたお祖母様との思い出の味。
コロナ禍を経て、そのお菓子を一から再現することに奔走したそうです。
そして、今では製造から販売まで一貫して行い、主として口コミで広がっていっており、マカオを中心に販売しているそうです。
日本、アメリカ、マカオを拠点に、世界を飛び回っているとのこと。
このような「自由」な人が周りに増えてきているなと感じます。
そして、この出会いが、来年2025年を占う、象徴するような出来事だと感じています。
この出来事を通じて、過去に行ってきた「因」(書籍)が、形になって「果」となる(人との出会い)ことに、改めて、不思議な「因果」を感じています。
そして、もう、これからますます「合わない人」とは
会わなくなっていく。
逆にいえば、自分が変わっていけば、それに合わせて、現実は如何様にでも変えることができる。
思ったことがすぐに現実化する時代。
大きな時代の変化をひしひしと感じる今日この頃です。
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編集後記
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2024年、最後のメルマガ。
今年も引き続き読んでいただいてありがとうございました。
来年は、SDアート15周年。
11月には記念パーティーをやろうと思っています。
また、個人的には、来年は一つ大きな節目が来ると思っています。
自分が心から望んでいたこと。
それに全力で夢中になっていくこと。
もう本当に、使命にだけ取り組んでいこう。
そんな覚悟とワクワクを感じています。
2025年、大きな節目を皆さんと体験できることを、
心より楽しみにしています。
皆さまの2025年が最高の年になりますように。
良いおとしを!
堀越 啓
*次回の私の月一の近況メルマガは、1月31日(金)の予定です