山口県出身。日本の彫刻家・笹戸千津子。
女性像を主とした人物像を制作する女性彫刻家です。
東京造形大学・彫刻科の第一期生で、佐藤忠良に師事。
「帽子 夏」などの帽子シリーズを中心にモデルもつとめ、
佐藤忠良の一番弟子であり、佐藤イズムの継承者でもあります。
今回はこの笹戸千津子先生を紹介します。
Contents
■佐藤忠良のイズムを継承する最後の彫刻家
彫刻家の教育に関しても非常に熱心だった佐藤忠良先生が立ち上げに参画したのが、
東京造形大学でした。
創業者の桑沢洋子さんとともに、後進の育成に熱心に取り組みました。
笹戸千津子は、この東京造形大学 彫刻科の一期生でした。
故・岩野勇三などと共に、佐藤忠良の教えを忠実に受け継ぎ、制作を行っています。
その後、佐藤忠良の数々のプロジェクトのサポート役として制作を支える一方で、
自らも精力的に制作を行い、日本全国のパブリックスペースなどに作品が設置されています。
冒頭の写真は、有楽町近くの帝国ホテルのそばに設置されている作品です。
佐藤忠良の一番弟子として、数十年にわたり彫刻を制作し続けている姿は、
今もまだ変わっていません。
■佐藤忠良の代表作のモデルとしても有名
佐藤忠良の「帽子・夏」「帽子・立像」は、氏の代表作として、
多くの方が目にしたことがあるかと思いますが、
実はこの女性モデルを務めたのが、笹戸千津子です。
佐藤忠良の「帽子・夏」「帽子・立像」は自身の最高傑作のひとつとして美術史に残る作品となっています。
佐藤忠良については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
■笹戸千津子の略歴
- 1948年 山口県徳山市に生まれる
- 1970年 東京造形大学美術学科彫刻専攻卒業。同大学彫刻研究室に入る
- 1971年 第35回新制作展に《き子》《腰かけるき子》を初出品。
- 1973年 東京造形大学彫刻研究室修了、佐藤忠良アトリエにて制作開始
- 1974年 第38回新制作展にて新作家賞受賞
- 1977年 新制作協会会員に推挙される
- 1978年 いわき市すまいギャラリーにて初個展
- 1983年 東京現代彫刻センターにて個展(初の全国巡回展)
- 1985年 仙台藤崎、石巻河北ホールにて個展
- 1987年 第18回中原悌二朗賞優秀賞受賞
- 1993年 第7回神戸具象彫刻大賞展に招待出品、准大賞受賞
- 1998年 第26回長野市野外彫刻賞受賞
- 1999年 佐川美術館にて「佐藤忠良と笹戸千津子の足跡」展(-2000年)
- 2004年 熊本県津奈木町つなぎ美術館で個展
- 2007年 いわき市ELICONAで《佐藤忠良・笹戸千津子》2人展
- 2013年 仙台藤崎、「佐藤忠良とその仲間たち展」
私も、本当に長い間作品を拝見していますが、佐藤忠良の教えを忠実に守り、変わらずに制作を続ける姿勢は、
誰にでも真似できる所業ではない。そのように感じます。
そして、
毎年9月に行われる新制作展@国立新美術館で、毎年必ず作品を出品されていますので、
ぜひご覧いただけたらと思います。
これからもその美しき具象彫刻を制作し続ける匠の技を、私も追いかけていきたいと思います。
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