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私たちの事業のひとつとして、アーティストのマネジメントを行っています。

アーティストマネジメントには、本当に様々な考え方があるようですが、

私が現在行っている仕事内容に照らして、

具体的に、

「アーティストマネジメントの仕事とは何をしているのか?」

を書いてみたいと思います。

 

アーティストとは?

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本題に入る前に、まず、ここでのアーティストの定義・カテゴリーについては、

・芸術家としてのアーティスト(画家、彫刻家、映像作家など)

・ミュージシャンとしてのアーティスト(歌手)

という2つの側面で捉えていただけたらと思います。

 

「芸術家と歌手ではだいぶ違うのではないか?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私の経験上では、本質的な部分は一緒です。

ですので、芸術に興味のある方は芸術家としてのアーティストを念頭に、

ミュージシャンとしてのアーティストに興味がある方はそれを念頭にして読み進めていただけたらと思います。

 

アーティスト・マネージメントの3つの側面

私が思うに、大きく分けて3つあります。

 

① アーティストをひろめる

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アーティストマネジメントを行うにあたっての大きな目的のひとつは、

「アーティストをひろめること」

です。

言い換えれば、

プロモーション、PRなどのマーケティングやブランディングをどのように行っていくか、

ということでもあります。

 

歌手であれば、CD販売やライブ、

画家であれば、絵画の販売など、

「ひろめていく」ための活動を行っていくことが、何よりも求められます。

 

そのためには、アーティストの個性や作風などについて一緒になって深く考え、

今後のビジョンやミッションの策定や、戦略、計画などを立案しながら、

如何にして進めていくかを深めていきます。

 

私はこの「ひろめる」活動については、競争戦略やマーケティング理論を大いに参考にしていますし、

また、業界独自のルールや慣行などを踏まえた上で、戦略や計画などを策定し、

実際のひろめる活動にブレークダウンしながらも、

全体観(政治経済、世の流れなど)を常に意識しながら進めていくことに気を配っています。

これは、その場その場のアイディアを思いつきで実行しがちなアーティストとは対極です。

アイディア自体がどんなによくても、全体の流れや大局から見てそぐわない、微妙なものについては容赦なく切り捨てることも多々有ります。

 

② アーティストを高める

L'Arlésienne- Madame Joseph-Michel Ginoux (Marie Julien, 1848–1911)

プランやひろめる方法がいくらよくても、内容が伴わなければ、

ひとはすぐに離れて行ってしまいます。

(逆もしかりです)

 

特に、アートというものは、ひとの評価が分かれるものが多いと言えます。

万人にとってよいアート、よい作品というのは、ありえません。

しかし、方向性や作風がどうであろうと、常に作品を制作し続けていくことが求められます。

また、作品を制作するということは、人間として研鑽し続ける態度が不可欠です。

広げて、深めて、腹に落とし、そして、知恵にし、叡智にしていく。

アーティストの活動意義がそこにあると言えます。

知識を知恵にし、叡智にすることにより、人類の生成発展を絶え間なく実現していく。

アーティストにはこのような深遠なる役割があります。

それを成し遂げていくには、中途半端な覚悟や作品では到底無理です。

そして、このような作品を作り続けていくには、その人自らの成長が不可欠です。

アーティストマネジメントをするものは、その成長を促進するためのヒントや、課題、体験などを与え、ともに検討し続けることが必要です。

このような活動を継続することにより、アーティストとしての価値を高め、

そして、人々の心を動かすものを届け続けていくことができると考えます。

 

③アーティストに専念させる

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以上のような活動を行っていると、非常に多くの雑多な種類の物事が、目の前に迫ってきます。

アーティストとしての活動には直接関与しない、アーティストが直接やるべきではないこと、が本当にたくさんあるものです。

アーティストは、本来このような活動に時間を割くべきではありません。

創造性を高めるための活動に注力し、アートとして表現し続けることが本来の役割です。

しかし、制作の依頼が増えれば増えるほど、それに比例して、契約、交渉、お金、事務書類、メールなどなどが増えてきます。

それらに対して、アーティストの代理人として、

適切に、即座に、対応していくことが、アーティストマネジメントの仕事のひとつです。

いわゆる雑用とも呼べる仕事も多いです。

これらをスピード感を持って、真摯に、的確に、計画性をもって次々と対応していく。これがアーティストマネジメントの仕事の大事なファクターのひとつです。

なので、事務処理能力の高さ、これは不可欠かと思います。膨大な量を目の前にしても、あきらめずに果敢に立ち向かっていける気力と体力と知力が必要です。

 

以上、アーティストマネジメントの仕事を3つの観点から描いてみました。

さらに詳しい内容については、現在メールマガジンで無料で発信しています。

特に経営者にとって、「経営にアートを取り入れ実践していくこと」がこれからの時代、非常に重要になってきています。経営者にもアーティストマネジメントの考え方をインストールしていく必要が出てきているということです。

現に、「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?経営におけるアートとサイエンス」(山口周・光文社新書)や「世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」」(木村泰司・ダイヤモンド社)などが出版され始めています。

このような時代の背景や、アートの教養を経営に生かしていくためのコツなどについて、深い情報を発信していますので、よろしければ以下よりご登録ください。

 

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アートプロデューサーとアートコンサルタント

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この記事を書いていると、「アートプロデューサー」や「アートコンサルタント」という言葉でも検索してこの記事に辿り着いていただいているようです。

おそらく、このような言葉については、明確な定義や違いはなくどこにも描かれていないのではないでしょうか(少なくとも日本語では)。

私が思うに、

アートプロデューサーとは、アーティストマネジメントの上位概念(抽象概念)であり、マネジメントよりも更に幅広い範囲でアーティストと関わっていく仕事だと思っています。

その段階には、アートプロデューサー>アートディレクター>アートマネジメント、という役割の段階があり、違いがあると思っています。

経営資源を自らひっぱってきて、配分し、行くべき方向性を提示してアーティストやステークホルダーを動かしていく。アートプロデューサーはそんな仕事ではないでしょうか。詳しい話については、また別途記事を書こうと思っていますが、大雑把に捉えるにはこのくらいの理解で十分かと思います。

アートコンサルタントとは、アートに関して総合的な知識、経験を持ち合わせている人で、それを生かしてブレーン的にその人やプロジェクトに寄り添って、主にアドバイスや情報提供を通じて、問題解決していく職業だと理解しています。

手を動かすというよりは、知恵を用いて解決の方向性を提示して、「軍師的に」アートに関連するサポートを行うという職業かなと思います。

実際のところ、プロジェクトによってや、アーティストとの関わり方によって、自分の役割を変幻自在にする必要がある場合も少なくありません。

ですので、あくまで私の経験や認識のひとつとして上記の言葉を捉えていただけたらと思います。

 

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